UUUM創設者・鎌田和樹の現在と退任理由|巨額資産と上場廃止の真相
かつて日本のYouTube黎明期を切り拓き、名実ともにインフルエンサービジネスの覇者として君臨したUUUM(ウーム)株式会社。HIKAKINをはじめとするトップクリエイターを束ね、2017年のマザーズ上場時には「時代の寵児」と称賛された同社ですが、その舵取りを一手に担ってきた創業者・鎌田和樹氏は、すでに経営の表舞台から完全に身を引いています。
さらに会社組織そのものも、フリークアウト・ホールディングスによるTOB(株式公開買付)を経て上場廃止を選択するなど、激動の荒波に揉まれました。一代でメガベンチャーを築き上げた創業者はなぜ退任へ追い込まれたのか、莫大な保有株式はどう処理されたのか、そして現在はどのような活動を展開しているのか。公開情報や業界関係者への取材データ、本人の過去の証言から、その栄光と挫折の真相を紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:UUUMの真の創設者は光通信出身の実業家・鎌田和樹氏であり、HIKAKINとの出会いから前身「オンセール」を経て日本最大のMCNを創り上げた。
- 要点2:社長退任の決定打はプライベートの週刊誌報道に加え、ショート動画台頭による収益激減と相次ぐ人気クリエイターの独立という二重の構造危機だった。
- 要点3:TOBにより上場廃止となった現在、鎌田氏は数十億円規模の株式売却益を手中に収め、エンジェル投資家・シリアルアントレプレナーとして再始動している。
【独自取材】UUUM創設者は誰?鎌田和樹氏の経歴とHIKAKINとの立ち上げ秘話
世間一般では「UUUMを作ったのはHIKAKIN」というイメージが先行しがちですが、企業としての青写真を描き、法人の骨格を作り上げた実質的な創業者は鎌田和樹(かまだ かずき)氏です。
鎌田氏は1983年生まれ、東京都出身。高校卒業後の2003年、19歳で大手通信代理店である株式会社光通信に入社しました。苛烈なノルマと実力主義で知られる同社で頭角を現し、テレコム関連部門の営業部長や子会社の代表取締役などを歴任。「数字に徹底的にこだわる営業マインド」と「泥臭い組織構築力」は、この光通信時代に培われたと自著やインタビューでも語られています。
独立を決意した鎌田氏が2013年6月に立ち上げたのが、UUUMの前身となる「オンセール株式会社」でした。当初はYouTuber事業ではなく、ECサイト連動型のプロモーション事業などを模索していた段階に過ぎませんでした。しかし、起業直後に出会った一人の青年が、その運命を大きく変えることになります。それが、当時すでに動画投稿者として圧倒的な熱量を放っていたHIKAKIN氏でした。
当時の日本のYouTube界隈は、クリエイターが企業案件を直接受ける商習慣も確立されておらず、著作権侵害のトラブルや理不尽な企業対応に個人が泣き寝入りするケースが頻発していました。HIKAKIN氏から「動画作りに専念できる環境が欲しい」という切実な悩みを聞き出した鎌田氏は、クリエイターのマネジメントおよび権利保護に特化した事業へのピボットを決断。2014年、社名を「UUUM」へと改称し、HIKAKIN氏をファウンダー兼最高顧問に迎える形で、日本初の本格的マルチチャンネルネットワーク(MCN)をスタートさせました。

カリスマ創業者はなぜ身を引いたのか?UUUM社長退任理由の深層
瞬く間にトップYouTuberを囲い込み、2017年には東証マザーズ(現グロース)への上場を果たしたUUUM。しかし、右肩上がりの成長神話は長くは続きませんでした。鎌田氏が代表取締役社長の座を退いた背景には、「ガバナンスとコンプライアンスの失墜」および「ビジネスモデルの崩壊」という2つの決定的な要因が存在します。
発端となったのは、2021年10月に報じられた週刊文春によるプライベートのスキャンダル報道でした。記事では鎌田氏の不倫問題や私生活におけるモラルハザードが糾弾され、上場企業のトップとしての資質に強い疑問符が投げかけられました。UUUMは即座に公式リリースを出し、鎌田氏自身が役員報酬を返上する事態へと発展。当時は「クリエイターに品行方正を求めながら、経営トップがコンプライアンスを揺るがすとは何事か」と、社内外から激しいバッシングが巻き起こりました。
しかし、本質的な退任理由はスキャンダルだけにとどまりません。より深刻だったのは、YouTubeの収益構造の激変でした。TikTokの爆発的普及に対抗するためYouTubeが「YouTubeショート」へアルゴリズムを急激にシフトさせた結果、長尺動画の再生数が世界的に低迷。アドセンス広告単価の下落が直撃し、UUUMの売上総利益は急速に縮小していきました。
加えて、木下ゆうか氏、ブレイクスルー佐々木氏、関根理沙氏をはじめとする初期からの功労者クリエイターが次々と事務所を離脱。「マネジメント料として売上の20%を徴収する」という従来の一律ビジネスモデルに対し、クリエイター側が「事務所に所属し続けるメリットが薄い」と判断し始めたのです。引責と業績不振の責任を取る形で、鎌田氏は2022年6月に社長職を専務執行役員だった梅景匡之氏に譲り、自らは代表取締役会長へ退行。さらに2023年5月末には代表取締役会長をも辞任し、経営の第一線から完全に退くこととなりました。
フリークアウトTOBと上場廃止理由|数字で見る激変の軌跡
創業者・鎌田氏の退場と前後して、UUUMは創業以来最大の経営危機に直面しました。その末に選んだ選択肢が、マーケティング・広告配信大手の株式会社フリークアウト・ホールディングスによるTOB(株式公開買付)と、それに伴う上場廃止です。
以下のデータ比較表は、UUUMが最も輝いていた絶頂期と、TOBおよび上場廃止に至った事業激変期における経営指標の冷酷な対比を示しています。
| 項目 | 絶頂期(2019年前後) | 激変・上場廃止期(2023〜2025年) | 編集部の見解・分析 |
|---|---|---|---|
| 売上営業利益率 | 約6.3%〜7.5%(高収益体質) | 赤字転落(数億円規模の営業損失) | ショート動画シフトに伴うアドセンス収益の急減と人件費負担が重荷に。 |
| 時価総額水準 | 一時1,000億円を突破 | 約100億円前後まで急落 | ピーク比で株価は10分の1以下となり、単独での市場評価が限界に達した。 |
| クリエイター離脱率 | 極めて低水準(独占的囲い込み) | トップ層・中堅層の離脱が常態化 | 自己プロデュースが確立した個人にとって、20%のマージン支払いは不合理となった。 |
| 資本構造と位置づけ | 独立系マザーズ上場ベンチャー | フリークアウト子会社化・非公開化 | 四半期ごとの市場プレッシャーを排し、抜本的な事業再生を図るための非公開化。 |
公式開示資料が物語る通り、上場廃止の直接的な理由は「四半期決算の短期利益に追われる公開市場から離脱し、非公開化によってドラスティックな事業構造改革を断行するため」に他なりません。
アドセンス収益に依存するビジネスモデルから、グッズ販売、IP開発、グローバルなデータドリブン広告へのシフトを急ぐ必要がありました。しかし、赤字を抱えた上場企業のままでは株主の反発を招き、巨額のシステム投資や人員整理に踏み切ることができません。フリークアウトの資本力を後ろ盾に選び、看板を下ろして泥をすする道を選んだのが、UUUMの生き残り戦略だったのです。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたMCNの限界
なぜ、一時代を築いたUUUMの求心力はここまで急速に失われてしまったのでしょうか。当時所属していたクリエイターたちの発言や、Web上に蓄積された現場関係者の証言を丹念に洗い直すと、急拡大した組織ならではの「構造疲労」が浮き彫りになります。
第一に指摘されたのが、「マネージャー格差」と「提供価値の陳腐化」です。初期のUUUMは、動画制作の企画提案から編集のアシスト、メンタルケアに至るまで、マネージャーが二人三脚でクリエイターを支えていました。しかし、所属クリエイターが数千人規模に膨れ上がるにつれ、現場マネージャーの多くが経験の浅い若手社員となり、単なる「メールの取次ぎ役」へと成り下がってしまった実態が指摘されています。
実際、離脱した某中堅YouTuberは自らの配信で次のように赤裸々に告白していました。
「毎月数百万円の手数料を引かれているのに、担当マネージャーからは事務連絡しか来ない。案件を持ってきてくれるわけでもなく、トラブル対応もマニュアル通り。これなら自分で個人事務所を作って優秀なスタッフを月給で雇ったほうが圧倒的に安上がりだと気づいてしまった」
ソーシャルメディア上でも、「UUUM所属=ステータス」だった黄金期から一転し、2020年代に入ると「なぜまだUUUMにいるのか?」とファン側から疑問視される風潮すら生まれました。クリエイター自身のスキルが向上し、企業側もダイレクトにインフルエンサーへ発注できる代理店インフラが整った結果、かつて鎌田氏が築き上げた「中間搾取に見えてしまうビジネスモデル」は、時代の進化そのものによって役目を終えつつあったのです。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|鎌田和樹の資産と保有株の真実
ネット上の掲示板やSNSでは、社長退任や上場廃止というセンセーショナルなニュースを見て、「鎌田和樹は会社を追われ、失脚して無一文になったのではないか」といった誤解や憶測が散見されます。しかし、資本主義の冷徹なルールに照らし合わせれば、この認識は完全な誤りです。
鎌田氏は創業者であり、退任時点でもUUUMの筆頭株主クラスとして大量の自社株を保有していました。フリークアウト・ホールディングスによるTOBが実施された際、鎌田氏は保有する株式の大半を売却する契約を締結しています。
TOB価格をもとに試算された鎌田氏の株式売却額は、控えめに見積もっても数十億円規模の純現金に達します。上場直後のピーク時時価総額(保有資産数百億円)と比較すれば目減りしたとはいえ、個人の資産形成という観点において、彼が日本屈指の「大富豪」である事実に揺らぎはありません。会社の経営難と創業者の個人資産は法的に峻別されており、ビジネスの勝敗とは別次元で、鎌田氏は起業家として破格のリターンを手にしているのが現実です。
そして現在、鎌田氏はこの潤沢な個人資産を元手に、エンジェル投資家およびスタートアップのメンター・アドバイザーとして精力的に活動しています。自身のYouTubeチャンネルや各種ビジネスメディアに時折姿を見せる鎌田氏は、かつての派手な経営者像から一歩引き、次世代の起業家たちへ「光通信仕込みの営業戦略」や「急成長ベンチャーの組織崩壊を防ぐガバナンス」を指南する立場へとシフト。自ら新たな事業投資会社を設立し、複数のシード期スタートアップへ出資を続けるなど、実業の世界で着々と第2のチャプターを進めています。

【プロの結論】クリエイター経済の組織論から見出すべき教訓
UUUMの興亡と創業者・鎌田和樹氏の足跡は、単なる一企業の盛衰劇にとどまりません。個人が強大な発信力を持ち、企業と対等以上に渡り合える「クリエイターエコノミー時代」において、マネジメント組織が直面せざるを得ない構造的ジレンマを鮮明に浮き彫りにしています。
組織論・メディア社会学の観点から見れば、UUUMのモデルは「属人性のパラドックス」に囚われていました。クリエイターという強烈な個のタレント力に依存しながら、上場企業として均質化されたスケールメリットを追及した結果、組織の論理とクリエイターの自由意志が致命的に衝突したのです。
クリエイター事務所に所属すべき人・独立すべき人の明確な判断基準
この歴史的教訓から、現代のインフルエンサーやコンテンツ制作者が「事務所に所属すべきか否か」を判断するための明確なスクリーニング基準が見えてきます。
- 事務所所属が向いている人:
- 自らバックオフィス(法務、税務、企業交渉、契約書チェック)を構築するリソースや知見が一切ない初期〜中堅クリエイター。
- 炎上対策や法的トラブルの防波堤を組織に一任し、メンタルの安定を最優先にコンテンツ制作へ集中したい人。
- マスメディア露出や大手ナショナルクライアントとのタイアップなど、個人の信用力だけでは獲得できない案件を狙いたい人。
- 絶対に避けるべき(独立・個人運営が向いている)人:
- すでに熱狂的なファンコミュニティが確立しており、自主企画のグッズやD2Cブランドで収益の柱を構築できるトップクリエイター。
- マージン(売上の15〜20%)に見合う具体的なサービス(専属編集者のアサインや大型企画の出資など)を事務所側から引き出せないと感じている人。
- 迅速な意思決定を好み、事務所の社内稟議やコンプライアンスチェックによる投稿スピードの鈍化をストレスに感じる人。
【uuum 創設 者】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:UUUMの本当の創業者はHIKAKINではないのですか?
A1:企業を設立し、資本調達や法人の組織構築を主導した法的な創設者は鎌田和樹氏です。ただし、HIKAKIN氏は創業初期からファウンダー兼最高顧問として事業構想に深く参画し、他のクリエイターを呼び込む求心力となったため、実質的な「共同創業者」として認知されています。
Q2:鎌田和樹氏は現在、どんな仕事をしているのですか?
A2:UUUMの取締役や執行役員からは完全に退任しており、現在はエンジェル投資家、起業家支援、個人投資会社の経営を中心に行っています。Web3、AI、コマース関連のスタートアップへの出資や、若手起業家に対する経営アドバイザリー業務などを手掛けています。
Q3:UUUMが上場廃止になったことで、HIKAKINなどの所属YouTuberはどうなりますか?
A3:上場廃止は株式市場における非公開化を意味するものであり、会社自体が倒産・消滅したわけではありません。フリークアウトの傘下で事業は継続されており、HIKAKIN氏をはじめとする主要クリエイターは引き続き所属・連携を維持しながら、新たな体制下でコンテンツ展開を行っています。
まとめ:カリスマ創業者・鎌田和樹が遺した功績と次世代の針路
ゼロ年代後半から2010年代にかけて「ただの動画投稿者」「素人の悪ふざけ」と見下されがちだったYouTuberを、子どもたちの憧れる「立派な職業」へと引き上げた立役者。それこそがUUUM創設者・鎌田和樹氏の歴史的功績であることは間違いありません。光通信で磨かれた強靭な突破力とHIKAKIN氏の類まれな才能が融合した奇跡の瞬間が、日本の新しいエンターテインメント産業を創出しました。
しかし、テクノロジーの進化とプラットフォームの変容スピードは、ひとりのカリスマ経営者が築き上げたビジネスモデルの賞味期限を容赦なく奪い去りました。スキャンダルによる引責、プラットフォーム構造変化への対応遅れ、クリエイターの自立による組織の求心力低下――これらはすべて、急成長を遂げた先駆者が支払わざるを得なかった痛烈な代償と言えます。
上場廃止という大きな節目を迎え、UUUMは新たな親会社のもとで再生への道を歩み、創業者である鎌田氏もまた、巨額の資金力を武器に次なる挑戦のフィールドへと舵を切りました。「個人の時代」を誰よりも早く予見し、駆け抜けた男が遺した軌跡は、今なお激動のクリエイターエコノミー界隈において、最も示唆に富んだケーススタディとして語り継がれています。 (出典: uuum 創設 者(Yahoo!ニュース))